fuyunoofutonのブログ

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読んだ本 『ギリシア悲劇 物語とその世界』

読んだ本 『ギリシア悲劇 物語とその世界』

ギリシャ悲劇の中からメジャーなもののあらすじをかいつまんでくれる本。途中かなり眠たくなりながらも読了。

やはりソポクレス。奴の作品はすばらしく、奴は天才である。その二言に尽きる。古代ギリシャ三大悲劇詩人にノミネートされるだけある。古代ギリシャ尾田栄一郎先生と言っても過言ではあるまい。逆に言うと尾田栄一郎先生は現代のソポクレスである。いや意味がわからん。

 

オイディプス王の三部作が特にプロットが良い。父を殺し、母と交わるという予言を受けたオイディプス。その運命から逃れ出ようとすればするほど逆に悲劇へと近づく。その流れが自然すぎて漏らしそう。

ソポクレス先生『こうやってストーリーを書くのだ!』

俺『はい』

古代ギリシャの悲劇では主演脇役の方々とは別にコロスという少々物騒な名前の一団が存在する。シーンの合間でBGM的な歌を歌ったりするが(コーラスの語源らしい)、どうやら観客の気持ちを代弁するような役割も担っているようだ。劇の中で主人公が傷つけば大丈夫だ元気出せととりなし、話の雲行きが怪しくなればおおオリュンポスの神々よと不安がる。悲しいことが起きればおおオリュンポスの神々よと悲しみ、酷いことが起きればおおオリュンポスの神々よと嘆く。

*実際は言うほど神々には祈ってません。

 

ある展開に対して観客が持つであろう感情を先回りして代わりに喜怒哀楽を表現しているみたいなのだが、それが話の展開に一喜一憂しているように見えてなかなかおもしろい。主人公の幸せをとても喜んだり、不幸を非常に心配してくれたりするのである。コロスかわいい。なんだコロスかわいいって。

さて本の感想に戻るが、大量の作品が紹介されている分ひとつひとつの内容は心に残りにくい。やはり直接作品に当たらなくてはなるまい。一冊読んだくらいでギリシャ悲劇をマスターしたみたいな顔をしていてはいけない。そんなあほ面は犬に食われてしまえ!

プロメテウスやらミノタウロスやら知っているような名前がたくさん出てくるので元ねたの勉強にはなる。あとギリシャ悲劇に対する興味を持つのにはいいと思う。何せ何千年も前の作品たち。古臭いという固定概念があるしナメてかかっている手合いが多いはずだ。しかしすばらしい展開、作品運びは時を超え時代を超え色あせることはない。さあブックオフへ行こう。

でも一冊すべてを読了する価値があるかと言うと微妙。いくらジブリの映画は名作揃いと言ってあらすじだけを読んで退屈にならないわけがない。ドラゴンボールがあらすじだけになれば一体どうなることやら(どうなるのだろう)。と言うわけで、この本を読んでいて何らかの作品に興味が沸いたら本を投げ捨てて再びブックオフへレッツゴーだ。ブックオフさんお金下さい。ギブミーハンドレッドイエン。